要約

日本株には、月ごとに起こりやすい需給イベントや季節性がある。特に7月上旬の「ETF換金売り」は、日本株ETFが分配金を支払うための現金化に伴う機械的な売り圧力として意識されやすい。分配金はETFや投資信託が保有資産から得た配当・利息などを投資家に配るお金であり、支払い後は理論上その分だけ基準価額が下がる。

背景

画像で示された相場カレンダーは、日本株の月別アノマリーをまとめたもの。各月の株価傾向を、決算、配当、節税売り、ETF分配金、海外投資家の休暇、ヘッジファンドの45日ルールなどの需給イベントと結びつけている。

これは「必ず当たる法則」ではなく、需給や市場心理を読むための補助線として使うもの。金利、為替、米国株、日銀政策、海外投資家動向によって簡単に崩れる。

要点

  • 1月は新興株が強いとされる。前年12月の節税売りで売られた中小型・グロース株の買い戻しや、NISA資金の流入が背景。
  • 2月から3月中旬は「節分天井、彼岸底」。決算発表が一巡し、材料出尽くしや調整が意識されやすい。
  • 3月はメジャーSQ、配当取り、権利落ちが重なり、指数の需給が荒れやすい。
  • 4月は新年度入りで機関投資家の新規資金が入りやすく、「こいのぼり相場」と呼ばれる。
  • 5月は増配や自社株買いで強いことがある一方、6月は売られやすいという見方がある。
  • 7月上旬はETF分配金に伴う「ETF換金売り」が意識される。
  • 8月は夏休みで市場参加者が減り、売買が薄くなる「夏枯れ」。
  • 9月から10月は年末ラリーに向けた底打ち・反転が意識されることがある。
  • 11月はヘッジファンドの45日ルールによる換金売りが意識され、中旬通過後に売り圧力が和らぐことがある。
  • 12月は年末高の「掉尾の一振」が意識される一方、個人投資家の節税売りで弱い銘柄は売られやすい。

7月ETF換金売り

7月のETF換金売りとは、大型の日本株ETFが分配金を支払うため、運用会社が現金を用意する過程で株式や先物に売り圧力が出やすい現象のこと。

日本企業は3月期決算が多く、ETFが組み入れ企業から受け取る配当は6月ごろに集中しやすい。その後、ETFは7月上旬に分配金を支払う。代表的な大型ETFでは、NF・日経225 ETF(1321)の分配金支払い基準日は毎年7月8日、NF・TOPIX ETF(1306)は毎年7月10日。

この需給イベントで影響を受けやすいものは、TOPIX先物、日経225先物、TOPIX大型株、日経平均寄与度の高い値がさ株、ETFに多く組み込まれている主力株。個別企業の悪材料ではなく、指数・ETF由来の機械的な需給要因として見る。

警戒されやすい時期は、7月第1週後半から第2週前半。特に7月7日、8日、10日前後の大引けや先物主導の動きに注意する。先回り売りが出ることもあり、イベント通過後は売り需要が消えたと見られて買い戻されることもある。

分配金とは

分配金とは、投資信託やETFが保有している資産から得た利益などを投資家に配るお金。株式の「配当金」に近いが、ETFや投資信託では「分配金」と呼ばれる。

日本株ETFの場合、ETFの中にはトヨタ、ソニー、三菱UFJなど多くの株が入っている。それらの企業からETFに配当金が入り、その配当などを原資にしてETFの保有者へ支払うのが分配金。

重要なのは、分配金が出るとその分だけETFの基準価額は理論上下がること。たとえば基準価額10,000円のETFが200円の分配金を出すと、分配後の基準価額は理論上9,800円になる。分配金は追加でもらえるボーナスではなく、ETF内部の資産の一部が現金として払い出されるイメージ。

具体例・引用メモ

  • NF・TOPIX ETF(1306)は、2026年6月23日時点の純資産総額が約34.2兆円。分配金支払い基準日は毎年7月10日。
  • NF・日経225 ETF(1321)は、分配金支払い基準日が毎年7月8日。
  • 2025年の実績では、1306は2025年7月10日に100口あたり695円、1321は2025年7月8日に10口あたり7,230円の分配金を出している。
  • 日銀は過去に大量のETFを買ってきたためETFの大口保有者だが、7月のETF換金売りは「日銀がETFを売る」話そのものではない。主役はETF運用会社側の分配金対応。

次に使う時の観点

  • 7月上旬に指数が重い場合、企業業績ではなくETF分配金に伴う需給要因かもしれないと見る。
  • 大型株、指数ETF、先物は短期的に売られやすい可能性がある。
  • 7月7日から10日前後の大引け、先物、指数連動売買を確認する。
  • イベント通過後に需給改善で反発することがある。
  • 中長期投資では過度に怖がる必要はないが、短期売買ではポジションサイズとエントリータイミングに注意する。

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日本株, 相場カレンダー, ETF, 分配金, 需給, アノマリー, 7月相場

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